日本文学選集
歯車
ぎりぎりと
鳴りつづけるのは何故か
淋しいからか
苦しいからか
それとも
もうそんな位置になど居ないのか
靜かな平坦だけがつづく雲雀の道
それは灰色の風景
名づけるなら
きっと
絶望という名前を持った
取り戻せないそれは愛だろう
歌い方 忘れて仕舞った
歌い方 忘れて仕舞った
歌い方 忘れて仕舞った
カナリヤは己だ
歩き方 忘れて仕舞った
進み方 忘れて仕舞った
飛び方 忘れて仕舞った
歯車が軋る
歯車が軋る
歯車が軋る
歯車が
歯車
はずれてしまった
紡ぐ糸はさよなら?
織る布は落日?
朝陽はもう射さない
素顔の儘で黙殺
陽射しが
己の影を
真っ黒に
真っ黒に
穢して
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