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       世界文学大系
JONATHAN SEAGULL

広げた両手がつかむのは
肌を切るような空気のかたまり
己の後ろに道はなく
前に示された風をさがすだけ

そこには何もかもがあって 本当は何もなかった
手に入れた距離と
失いつづける生きがい

ジョナサン 陽射しを背に受けて どこへ行くのか
ジョナサン 無言の月光は何を語るか
はぐれた心の行き先は
波打つ水面にまぎれて消えてしまった

どこにも約束なんてない
羽を休ませる場所があるなんて
それでも身体は空を舞う
そこに説明の入る余地はない

心は何もかもが満ちて 本当は全部欠けてた
突き上げる意志と
失うこととの戦い

ジョナサン 孤独になってまで 何をするのか
ジョナサン 無限の絶望に何を捜すか
それとも希望のひとかけら
拠り所にして明日を目指すつもりか

全ての意味すら無くなって 本当は全てがあった
いつまでも君は
生まれた時から一人だ

ジョナサン 陽射しを背に受けて どこへ行くのか
ジョナサン 無言の月光は何を語るか

広げた両手がつかむのは
肌を切るような空気のかたまり
己の後ろに道はなく
前に示された風をさがすだけ




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